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     第2回北部福岡感染症研究会
                                           開催日  平成16年7月14日
                                           会場   リーガロイヤルホテル小倉 「祇園の間」
                                           演者   秋山 牧子
                                                             

第2回北部福岡感染症研究会

北部九州および山口地区における MRSA分離状況と薬剤感受性
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MRSAとはβ−ラクタマーゼに安定なメチシリンなどのペニシリン系やセフェム系などのβ−ラクタム剤に耐性を示す黄色ブドウ球菌であり、その耐性機序は、外来遺伝子mecAを獲得し、新しいペニシリン結合タンパク質PBP-2’(プライム)を産生することにより耐性化します。さらにキノロン剤、アミノ配糖体剤、マクロライドなど多剤耐性を獲得している場合が多いです。
臨床材料より分離された場合でも起炎菌となっている場合は少なく、保菌状態である場合がほとんどです。しかしながら、外科手術後の患者や免疫不全者、長期抗菌薬投与患者などに日和見感染し、各種感染症を引き起こします。さらに院内感染を引き起こしやすく、分離された場合の対策が重要な耐性菌でもあります。
感染症新法では「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症」として定点報告が必要な五類感染症に指定されています。
北部九州および山口地区のMRSAの分離状況を薬剤感受性について、検討したので報告いたします。

材料および方法です。
菌株は2003年11月から2004年3月までに依頼された検体のうち薬剤感受性測定がなされた黄色ブドウ球菌を対象としました。
期間中に97施設より分離された750株を用いました。内訳は、60施設より分離されたMRSA 428株および 72施設より分離されたMSSA322株です。
同定方法は、VITEK systemおよび食塩卵寒天培地、MRSA確認培地、コアグラーゼ試験を用いて菌の同定を行いました。
薬剤感受性試験は、ディスク拡散法、微量液体希釈法、寒天平板希釈法を行いました。


検査法について示します。
ブドウ球菌はグラム染色上で左の写真のようにグラム陽性の球菌として確認されます。
羊血液寒天培地に塗布すると、右の写真のようなβ溶血の白いコロニーとして発育してきます。



染色と羊血液寒天培地上のコロニーでブドウ球菌と推定したあと、食塩卵寒天培地に塗布します。
黄色ブドウ球菌はコアグラーゼ、マンニットを共に分解します。
食塩卵寒天培地上でコアグラーゼは、卵黄と反応し、左の写真のように集落の周囲に真珠色の白濁帯を形成します。
コアグラーゼ陰性のブドウ球菌は白濁帯を形成しないため容易に判定できます。


その他、マンニット分解性を利用した培地もあり、右のマンニット食塩培地ではマンニットを分解して酸を生じるため、コロニーの周囲が黄変します。
左の卵黄加マンニット食塩培地では卵黄とマンニットを共に含有していることによりコロニーの周囲が黄変し、さらに白濁します。


黄色ブドウ球菌であることを確認したあと、6μg/ml含有のMRSA確認培地に塗布すると、右のMSSAは抑制され、左のMRSAのみ発育してきます。

当センターではこの中で、自動分析装置VITEC2で検査を行いました。
カードの一つ一つの反応層にそれぞれ生化学的試験に必要な基質が入っており、基質の反応を測定することにより菌の同定を行います。



北九州および山口地区 97施設より分離された750株の黄色ブドウ球菌に関する結果です。
分離された黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの割合を入院、外来別に示しています。
入院では全体の73.2%を占めましたが、外来では33.1%でした。

病床別にMRSAの分離率を示しています。
入院ではどの病床数でもほとんど変わらない結果となりました。
20床未満の施設での入院患者由来株のMRSA分離率は100%となっていますが、3施設12名の結果です。
外来患者由来株では、中規模病院でMRSAの率が有意に高いという結果となりました。

MRSAが分離された検査材料別の割合を示します。
ピンクで示しております呼吸器材料からの分離数が最も多く、尿、膿、便からも多く分離されていました。
外来患者由来株では、黄色で示した耳漏が17%を占めていましたが、入院患者由来株からは分離されていませんでした。


年齢別黄色ブドウ球菌の分離数を示しております。
MRSAでは70才以上の高齢者が、約74.5%を示しました。


MRSAの各種薬剤に対する感受性率を示しております。
黄色が、産業医大分離株、赤が小倉医師会に依頼された菌株のデータを示しています。
β-ラクタム系、マクロライド系抗菌薬はほとんど感受性を示しませんでしたが、抗MRSA薬として考えられるVCMとTEICは100%感受性を示しました。
MINOとアミノ配糖体系の薬剤の感受性は、その時々の流行株の感受性に左右されますので、感受性率は大きく変動すると思われます。
今回の結果では、Gentamicinの感受性率は、両施設に差は認められませんでしたが、ABKでは、産業医大97%、小倉医師会62%、AMKでは、産業医大43%、小倉医師会21%と明らかな差が認められました。
FOM, ST, CPに関しては、小倉医師会分離株の方が、明らかに高い感受性率を示しました。

その他の薬剤感受性です。
キノロン系抗菌薬は感受性を示しませんでしたが、抗VRE薬であるリネゾリド(LZD)やシナシッド(QP/DP)は100%感受性を示しました。

分離状況のまとめです。
北九州および山口地区の97施設より分離されたS. aureus 750株について検討しました。
S. aureusに占めるMRSAの割合は、入院患者で73.2%、外来患者で、33.1%でした。病床数別にその割合を比較すると、入院患者由来株では差は認められませんでしたが、外来患者由来株では、中規模病院でMRSAの率が高く有意でした。。
検査材料別では、呼吸器由来材料が最も多く、入院患者由来株では、膿検体が、外来患者由来株では耳漏検体由来株が多く検出されました。
年齢別では、70および80代が多く、50歳未満では、MRSAよりもMSSAの分離株数が上回っていました。


薬剤感受性のまとめです。
バンコマイシン、テイコプラニンに耐性を示す株は、存在しませんでした。
抗VRE薬であるリネゾリドおよびQPR/DPRも100%感受性を示しました。
アルベカシン感受性率は、産業医大分離株では、97%でしたが、小倉医師会へ提出された22施設106株の結果では、64%であり、大きな差異が認められました。
ST合剤の感受性率は、産業医大分離株では、23%でしたが、小倉医師会株では、100%を示しました。
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